コモンウェルス

コモンウェルスという地位

 サイパン島を含む、北マリアナ諸島は、コモンウェルスという地位にあります。コモンウェルスは、米国主権下の属領または保護領です。コモンウェルスには自治政府があり、内政を認められています。しかし防衛や外交は米国本土が行います。米国自治的・未編入領域という領土の分類になります。米国領には他にグアムや米領ヴァージン諸島がありますが、これらも同様の自治的・未編入領域になりますが、格付けはコモンウェルスとは違います。コモンウェルスという格付けが与えられると、国際連合非自治地域リストから除外されるのです。

 コモンウェルスの場合、政治的には、自治政府による内政が認められます。ただし、米国憲法や法律には制限されます。主権は米国の本土にあるからです。そのため国家元首は米国大統領です。また、地域を限定した国際機関に加盟するにあたっても、米国政府と相談のうえでないと可能ではありません。

 このようにさまざまな規制があるのが、コモンウェルスなのです。また、軍事的には、必要な場合は土地を収用することはできます。ただし、あくまで米国が全面的な防衛権をもちます。

 関連する言葉として、信託統治があります。信託統治は、国際連合の信託をうけた国が国際連合総会および信託統治理事会による監督のもとで、非独立地域を統治する制度です。これは国際連盟における委任統治制度が発展し、継承されたものです。たとえば、東西カメルーンなどです。

 

コモンウェルス

 サイパン島は、アメリカ合衆国のコモンウェルスです。サイパン島を含む、北マリアナ諸島全体が、アメリカ合衆国のコモンウェルスにあたります。ただし、グアム島は準州にあたり、別の行政区画となります。

 準州とコモンウェルスはどのように違うのでしょうか?

 コモンウェルスは、米国自治連邦区のことです。米国の海外領土のなかで政治的地位をもつ属領、および保護領のことです。自治領という呼ばれ方をすることもあります。プエルトリコおよび北マリアナ諸島の二つの地域が米国自治連邦区、すなわちコモンウェルスにあたります。かつては、フィリピンも独立前の1946年前にはコモンウェルスでした。

 米国の50州のなかには、正式名にコモンウェルス、commonwealth をもつものが他にもあります。ケンタッキー州、マサチューセッツ州、ペンシルバニア州、およびバージニア州です。この4州はこの名称を含んでいても、サイパン島となどの場合のコモンウェルスとは別格と考えるべきです。イギリス連邦も、commonwealth を名前に含んでいます。しかしイギリス連邦は独立主権国家連合ですので、これもサイパン島などのコモンウェルスとは違います。

 コモンウェルスは、米国主権下の属領、あるいは保護領です。自治政府による内政は認められています。しかし防衛や外交は認められておらず、これらについては米国が行います。コモンウェルスは、領土分類のなかでは、米国自治的・未編入領域に入るのです。