クリーニングによるやけど

クリーニングトラブル

クリーニング店から戻ってきた衣類って、きれいなビニール袋に包まれていて、新品同様になったような気持ちになりますね。でもこれは、大きな誤解なのです。実際には、洗濯されているだけですから、汚れが落ちているだけです。それどころか、クリーニングしたことで、いくつかのトラブルが起こってしまう可能性もあります。具体的な例として、衣類についているボタンやファスナーなどの金属(主に銅)と、生地の染料とが反応して金属結合を起こし、生地が変色してしまうことがあります。これは、特に、クリーニングが終わってからの自宅での保管中の事故が多いようです。乾燥ジミも、多いトラブルです。洗浄液が残ってしまったまま乾燥処理された場合、洗浄液が縫い目部分に移動して、汚れや洗剤成分がシミとなってしまうのです。洗浄液が抜けにくい、樹脂コーティングされている製品やキルティングされている製品に多いようです。また、コートやジャンパー、スキーウェアーの生地によく使われているポリウレタン樹脂によるトラブルがあります。光沢がある衣料として、人気は高いですが、この衣料のトラブルが多発しています。ポリウレタン樹脂は、着用中に付いた汗や汚れ、保管中の湿気や紫外線など、様々な影響を受けると、劣化して、はく離しやすくなってしまいます。このような状態でクリーニングすると、それがきっかけではく離することが多いのです。ポリウレタン樹脂は着用していなくても、購入後1〜3年経つと、シワやべたつきが出てきます。最終的にははく離する可能性が強いものなので、それを承知の上で購入した方が良さそうです。ポリウレタン樹脂とよく似ているものに、ポリ塩化ビニル樹脂があります。こちらもコーティングされると衣料に光沢が出るものですが、ポリウレタン樹脂コーティングのようにドライクリーニングすることはできません。ドライクリーニング溶剤のパークロルエチレンによって、ポリ塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤が溶け出してきてしまい、バリバリになってしまうのです。ポリ塩化ビニル樹脂を使っている衣料は、ドライクリーニングは避けて、ウェットクリーニングに出しましょう。衣料がどのような状態なのか、クリーニングすることによって起こりうるトラブルは何なのか、ある程度自分で把握した上でクリーニング店にお願いすると良いですね。

 

クリーニングによるやけど

クリーニングした衣料で、やけどしてしまう場合があることをしっていましたか?クリーニング店で行われているドライクリーニングには有機溶剤という物を使っています。有機溶剤には色々な種類がありますが、最も一般的なのが、石油系クリーニング溶剤です。石油系溶剤は、衣類への影響が少ないのですが、残留しやすい点があり、これが原因で化学やけどなどの皮膚害を起こすことがあるのです。石油系溶剤は短い時間で皮膚を透過しやすく、皮膚の下の組織に損傷を与えます。初めは皮膚がピリピリ、チクチクする感じがして、そのまま着続けると肌が赤く腫れ上がって、やけどのように水ぶくれができてしまいます。主な治療法は炎症を抑える軟膏を塗る方法で、2週間程度で治る場合が多いですが、治るまで1ヶ月以上かかってしまう場合も少なくありません。また、治っても色素沈着し、黒くあざが残ってしまう場合や、やけどのような傷跡がなかなか消えない場合もあります。国民生活センターによると、ズボンでの被害が全体の73%で最も多いようです。皮膚に密着しやすいことや、合成革製品のズボンは溶剤がこもりやすいことが原因と考えられています。直接肌に触れていなくても、ストッキングや下着を通って炎症を起こすこともあるそうです。クリーニングから戻ってきた衣類を、袋から出さずに放置していませんか?この袋は、運搬の時の汚れを避けるためのものであり、保管袋ではありません。クリーニングが終わったら、すぐに袋から出して、風通しの良い屋外で陰干ししてください。そうすることが化学やけどの防止につながります。肩バッドやポケットなど、乾きにくい部分は溶剤が残っている可能性が高いので、特に注意してください。