岡田武史体制、知られざる秘話

岡田武史の代表的なセリフ

 岡田武史の発言として最も有名なものはやはり大会登録選手を発表する際のセリフ「外れるのはカズ」ではないでしょうか。私にとっても岡田氏の数ある印象的な発言の中でも、これが一番衝撃的で印象に残っています。

 カズは日本サッカーで最も人気のある選手であり、そのカズを直前で登録メンバーから外す。当然、この選考には議論を呼び、これによって「岡田武史」という人物が好きではなくなったという人もいたようですね。

 この大会登録選手発表でカズを外した真意は何なのでしょう。岡田氏はのちに雑誌のインタビューなどでそれについて語っていますが、やはり相当苦渋の決断であったようですね。岡田監督自身は発表後は合宿で日本にはいなかったので日本国内の様子を直接見るということはありませんでした。ですが、家族は実際キツかったみたいだった、と漏らしています。子供も、かなり辛い思いをしたようです。

 岡田監督もカズを外すことによってこうなるということは、ある程度発表前から予想していたのではないかと私は思います。それでもカズを外したのは、日本代表を勝たせる為に監督としてやるべきことはなんだろうと考えたとき、あの結論に達したわけなのだそうです。

 岡田監督自身、カズのことを尊敬していたし、大好きだったと語っており、コーチから反対もあったようですが、「俺が決める」と最後は自分を信じたようですね。あの決断が正しかったのかそうでないのかはわかりませんが、相当大きな決断であったことは間違いないでしょう。

 

岡田武史体制、知られざる秘話

 これは岡田武史氏が加茂周監督の更迭をうけて急遽監督に抜擢された際、その心境を岡田は翌日のインタビューにて“ホテルがスイートルームになっただけ”と発言。また、後日も「別に大したことはなかった」と答えるなどさもなんでもないようにひょうひょうと答えているのが印象的でしたね。「岡田武史」っていう人物はこんな人なのか、と。

 ですが、そんな裏でこんなエピソードがあったのです。岡田から日本代表のアシスタントコーチ就任の依頼を受けた小野剛はそれを快諾します。そしてこのとき岡田は逆に「そんなに簡単に受けていいの?例え話じゃないんだぞ。もし失敗してしまったら日本に本当にいられなくなるかもしれないんだぞ!」と叱り飛ばしたそうです。マスコミを交わしながら、強烈に押し寄せてくるプレッシャーと戦うことになるというその覚悟の一片を見て取れますね。

 また、岡田はあの“ジョホールバルの歓喜”の前夜にも、日本にいる家族に電話をかけ、「もし負けたら日本では住めなくなるから外国に移住しよう」という内容の会話を夫人としたのだとか。何もそこまで考えることもないのでは・・・という感じですが、本人にとってはそれだけの覚悟を胸にあの大一番に臨んだようですね。

 そして、自分自身のみならず家族にまでも大きなプレッシャーが国民によって加えられたことにより「代表監督は外国人に限る」とことあるごとに発言しています。 ですが、同時に日本人の良さを一番引き出せるのは日本人、という内容の発言も行っています。